PE認定 (新聞報道を解説)
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昨日の勉強会で、PE認定に関する判決がトピックになりました。米国居住者が、米国で仕入れた自動車用品を通信販売で日本の顧客に販売していたケースですが、在庫を日本のアパートの一室に置いていたことが原因で、日本で課税された事例です。
(事案)
東京高裁 平成28年1月28日判決 所得税決定処分等取消請求控訴事件…. 米国から輸入した自動車用品をインターネットを通じて専ら日本国内の顧客に販売する事業を営んでいた非居住者が,その事業の用に供していたアパート及び倉庫は,日米租税条約5条に規定する「恒久的施設」に該当し,本邦において所得税を納税すべき義務があるとされた。
(解説)
米国人居住者ですが、日本に恒久的施設(=PE)を置いていなければ、米国から日本の顧客に商品を販売しても日本で課税を受けることはありません。日本にPEが無ければ、事業の所得に関しては日本で課税を受けることは無いという基本原則に沿ってます。また、仮にそのPEが、補助的な機能しか有していない場合にも課税を受けることはありません。私見ですが、日本のアパートの一室に在庫を置いておく位では、その機能は”補助的”ですので、そのアパートの一室がPE(1号PE=日本事務所)に認定されることはありません。ただし、今回はこの在庫を日本に置くことにより、米国人居住者が日本で行う販売事業の付加価値を上げる結果となっていたのでしょう。在庫が日本にあれば、日本の顧客への配送日が早くなり、それにより他社と比べて競争力が高まり、商品の売り上げが伸びるという結果につながったのだと予想します。日本の倉庫が、その事業への付加価値を高めるようであれば、もはやその機能は補助的ではないという理由での課税だと思います。事務所PE認定には注意が必要です。
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