タイ進出企業に打撃 50社以上追加で納税へ(新聞報道を解説)
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タイでは、自国の産業を守るため、比較的厳しく外国資本の参入を規制してますが、自国の発展に寄与するような製造業をはじめとした特定の産業については、税優遇の特典を与えてます。BOI(=投資委員会)の認可による税優遇もその一つです。
自社の中で、製造業と販売業を行う場合、製造業はBOI、販売業は非BOIとなり、どのようにBOI認可の免税所得と、非BOIの課税所得を計算するのか議論が別れるところでしたが、課税当局有利な形で、判決が出たようです。
以下 2016/8/30 3:30日本経済新聞 朝刊
4500社超の日系企業が進出する「アジアの工場」タイで、法人税の算定方法を巡る政府内の見解の違いが企業経営に打撃を与える事態が広がっている。多くの企業が採用していたタイ投資委員会(BOI)が推奨する方式を最高裁判所が違憲と判断し、50社以上が追加で税金を払う見通しとなった。影響は今後も拡大するとの見方がある。
問題となっているのは、法人税優遇を認める制度を利用する際に、企業が損益を計算する方法を巡ってBOIと財務省歳入局との見解が食い違っていることだ。
BOIは優遇対象の事業が複数ある場合、それぞれの事業単独で免税扱いとなるなどとしており、これまで多くの企業がこの方法を採用していた。一方、歳入局は税優遇の対象となる事業間で損益をまず相殺すべきだと主張し、そのうえで損失が残る場合は非優遇事業の利益から差し引くことを認めるとしている。
両者の見解が併存する異常事態が10年以上にわたって続いてきたが、BOIは企業にとって税負担が少なく済む自身の算定方法が許容されると説明し続けてきた。ところがタイ最高裁は今夏、歳入局が08年にミネベアに対して約5億バーツ(約15億円)の追加の法人税納税を求めた訴えを巡り、歳入局の訴えを全面的に認める判決を下した。ミネベア勝訴との大方の予想を裏切る内容となり、ミネベアは結局、約5億バーツを追加で支払った。
企業戦略を左右する税制に関する従来の解釈がいきなり覆された格好だ。さらにタイ政府は進出企業に対し追加納税の自己申告を求め、フジクラが約9億バーツを払うといった動きも出てきた。歳入局は「50~60社が申告し、追加納税額は40億バーツ規模となった」という。これに対し、タイ工業連盟は「追加納税の対象は100社以上に上る」と指摘しており、混乱が収束したとは言い難い。
海外からの投資への悪影響を恐れるタイ政府は「問題は解決済み」との立場だ。23日には投資奨励法の改正案を閣議決定し「(法人税額を決める)損失の計算方法は歳入局に従う」と明記した。年内の施行をめざすものの、現地大手会計事務所担当者は「タイ政府の対応は中途半端で、企業は安心して事業活動ができない」と懸念する。
約1700社の会員企業がいるバンコク日本人商工会議所は「BOIに従ってきた企業が敗訴したのは非常に残念。今後の新規投資に対する懸念材料だ」と訴える。タイは連続爆発事件の発生といった不安材料も抱える。海外からの企業誘致の柱ともいえる税制の解釈が当局の都合で二転三転する事態が続けば、外資企業が投資を手控え、経済成長が下押しされる恐れが膨らむ。
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