非常勤役員への役員報酬 幾らが妥当?
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ブログでもたびたび取り上げておりますが、税法には「過大役員報酬」という規定があります。例えば、某会社の社長が、自分の奥様やお子様を役員として、しかもほぼ非常勤であるにも関わらず役員報酬を支給していた場合なんかは、その金額が過大でないか否か議論になります。
実際には、その非常勤の家族役員の職務内容を総合的に考慮して、過大か否かを判定します。以下裁判事例が参考になります。
<東京高裁平成23年2月24日判決>
焼酎製造及び販売業(鹿児島県)
代表者の妻Aへの役員報酬 年額80~240万円
【裁判所の判断】
納税者が主張するAの業務(接待業務、取引先の家族との付き合いなど)は、常勤と認められるものではない。
Aの口座に月額20万円程度振り込まれていたが、残りは夫である社長が現金で受領しており、Aは給与明細書も受け取っていない。
⇒同種の類似規模の法人が非常勤役員に支払った、報酬額平均の 月額10万円が妥当。
<東京地裁平成22年6月8日判決>
【概要】
医療法人(宮崎県)
理事長の姉の夫Bへの役員報酬(年額600~1800万円)
理事長の姉Cへの役員報酬 (年額800~1120万円)
【裁判所の判断】
理事長の姉の夫Bは、都内で別途コンサルタント業を営み、Cとともに医療法人に出向くのは年に3~4回程度
医療法人の運営はほとんどを理事長にゆだねており、非常勤の役員と考えるのが妥当
⇒類似規模の医療法人が非常勤役員に支払った、報酬額平均の 年額60~185万円が妥当
<熊本地裁平成15年9月26日判決>
【概要】
医療法人(熊本県)
常務理事の次男Dへの役員報酬(年額2040~3240万円)
【裁判所の判断】
常任理事の次男Dは、別の病院に常勤しているため、非常勤の役員と考えるのが妥当
⇒報酬額は、月額9~40万円が妥当。
非常勤の役員報酬は、全くゼロ、という訳では無く、経験上も過去の判例上も月額10~15万円位かといったところです。非常勤と認定されたないためには、業務実績を残していかなければなりませんね。
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