アルテスタ税理士法人

アルテスタ税理士法人は、INAAグループの日本代表事務所です。

国内法人税務、相続税務から、外国法人の日本進出まサポートまで総合的にサポート

*

役員報酬の定額支給 未払計上は認められるか?(水曜勉強会)

投稿日: 

今日の勉強会の講師は榊原さん。今日もリモートでの勉強会開催となりました。今日のトピックも盛りだくさんでしたが、役員報酬を実際に払わずに毎月定額を未払計上しているケースの課税関係につき解説してもらいました。

役員報酬の未払計上は可能か?

コロナ禍で資金繰り等が悪化し、役員給与が“未払い”となり、毎月同額の役員報酬を支払うことができないケースも生じてます。この場合、法人税法が規定する”毎月定額支給”の要件から外れて、その一部分が役員賞与として否認されてしまうのでしょうか?

法人税法では、役員報酬は毎月定額を「支給」しなければ所得計算上の費用とすることはできないと規定してます(法法34①一、法令69①)。ただしこの「支給」とは、現実の支払いを意味するものではなく、債務の確定を意味するものと解されてますので、“未払い”であっても支給時期が到来していれば要件を満たすと考えられてます。

税務調査での否認リスク、定期的か臨時的か?

ただし役員給与を未払計上することについて、資金繰り悪化等のやむを得ない事情がない場合には、後々税務調査で否認されるリスクがあります。

例えば、定期給与の一部を未払金として積み立てておいて、その分を後でまとめて支払うようなケースは認められないととの裁決事例が公表されてます。注目ですね。

国税不服審判所の裁決にも「役員給与の一部の金額を未払金に計上した上、従業員に対する賞与の支給時期に支払った場合、当該金員は役員賞与に該当するとした事例」(平成元年6月7日裁決)があります。

同裁決では、役員に支給された給与が報酬として損金に算入されるか、賞与として損金算入が否認されるかは、実際に支給された給与が定期的な給与か、臨時的な給与かという支給形態ないし外形によって判断すべきとした上で、次の①②③等から判断すると、当該未払金は、当初から役員賞与として支給すべきものを形式的に定期の給与にしたものにすぎないと認定してます。

①本件役員報酬について、あらかじめ定められた支給基準に基づいて定時にその全額を支払うことができないとする特段の事情もない。

②毎月の役員報酬の一部を未払金とし、その額をおおむね盆、暮れの従業員に対する賞与の支給期に支払っている。

③賞与の支給期に支払った金額は、未払金残高を超える金額であることから、未払金勘定に赤字が生じているが、当該赤字の金額を各事業年度の期末においては、その残高がちょうど零円となるようにその後の当該役員報酬の未払金で補てんしている。

 

 - ブログ

  関連記事

タージマハール3 白大理石の霊廟
インド企業に、IT関連報酬を支払う際の注意 -源泉所得税

自社のシステム開発を行う際に、自社の従業員をインドに派遣し、インド国内のIT企業 …

ふるさと納税の返戻品は課税対象になるのか?

返戻品は課税対象になります。色々と意見が分かれるところですが、先日の国税局からの …

申告が漏れていた場合の加算税(水曜勉強会)

今日の勉強会の講師は佐々木さん。申告書を提出しなかった場合の加算税について、再度 …

確定申告 経費はどこまで認められる(水曜勉強会)

今日の勉強会の講師は佐々木さんです。確定申告時期ですが、個人の経費がどこまで必要 …

国際最低課税制度導入へ

2024年(令和6年)4月1日以後に開始する事業年度から、海外子会社の現地での実 …

INAA会議

今回のINAAの世界会議は、上海で行われました。 上海は、10年前に来たことがあ …

賃上げ等税制が「人材確保等促進税制」へ(水曜勉強会)

今日のリモート勉強会の講師は岩里さん。人材確保促進税制について説明してもらいまし …

no image
(新聞報道を解説)  「機長派遣の海外企業、消費税申告漏れ」

日本の航空会社にパイロットを派遣している米国、ニュージーランド、アイルランド等の …

PAGE TOP