税務上の「中小法人等」と「中小企業者等」の違い
投稿日:
中小企業に対する税制上の優遇措置は、「中小法人等」に適用されるものと、「中小企業者等」に適用されるものとがあります。「中小法人等」と「中小企業者等」、雰囲気は似てますが全く異なりまして、間違えることも多いため注意が必要です。例えば自社の資本金は1億円ですが、資本金5億円以上の会社に51%を保有されている場合は、「中小法人等」ですが、「中小企業者等」ではありません。
「中小法人等」とは、①資本金の額が1億円以下の会社であるか、②大法人(=資本金5億円以上の法人)による”完全”支配関係がないものをいいます。
「中小企業者等」とは、①資本金の額が1億円以下であるか、②中小企業者等以外の法人(=大規模法人)に発行済株式の2分の1以上を”直接”所有されていない法人、又は③2以上の大規模法人に発行済株式の3分の2以上を”直接”所有されていない法人をいいます。
それぞれで適用される優遇措置は以下の通りです。
| 法人税法上の「中小法人等」に適用 | 租税特別措置法上の「中小企業者等」に適用 |
| 法人税率の軽減
⇒年800万円以下の所得につき、適用される法人税率を軽減 23.4%→19% |
30万円未満の固定資産の取得時全額損金算入
⇒取得価額が30万円未満の減価償却資産につき、年300万円を限度として損金算入 |
| 欠損金の繰越控除制度の特例
⇒控除額に対する制限 |
試験研究費の税額控除の特例
⇒税額控除割合等を優遇 |
| 欠損金の繰戻還付制度
⇒欠損金繰戻還付可能
|
環境関連投資促進税制(グリーン投資減税)
⇒税額控除割合等を優遇 |
| 交際費等の損金不算入制度の特例
⇒年800万円まで損金算入 |
中小企業投資促進税制
⇒税額控除割合等を優遇 |
| 特定同族会社の留保金課税の適用除外
|
雇用促進税制の特例
⇒税額控除割合等を優遇 |
| 貸倒引当金の適用 | |
関連記事
-
-
所得格差
国税庁発表によると、所得金額1億円以上の納税者が2万人を超えたそうです。5年前と …
-
-
退職金の収入すべき時期 (水曜勉強会)
今日の講師は山本さんです。 退職手当金の収入時期に関する裁判事例を解説してもらい …
-
-
8億円脱税、弁護士らの無罪破棄 東京高裁「事実誤認疑い」
法人名義の不動産の取得売却を行った場合でも、実質的な資金管理の権限を個人が持って …
-
-
代表取締役への退職金は要注意(水曜勉強会)
今日の勉強会の講師は榊原さん。国会を通過した税制改正法案、分掌変更に関する判決等 …
-
-
実効税率 平成29年3月決算期用
平成29年3月期の決算で税効果会計を適用する場合の実効税率は下記となります。
-
-
10年間限定の事業承継税制特例制度(水曜勉強会)
今日の勉強会の講師は山本さん 事業承継税制と、今年から改正された、10年間限定の …
-
-
(新聞報道を解説) 相続増税で相談急増(2015/4/23日経新聞)
アルテスタでも、今年にはいってから、相続税に関する相談が大変多くなりました。。 …
-
-
シンガポールでのCOVID-19制限解除の動向
シンガポールですが、6月2日からCOVID-19対策の制限、通称”サ …
- PREV
- タックスヘイブン税制に関する裁判事例(水曜勉強会)
- NEXT
- 香港出張
