ゴルフ会員権購入時の税務会計処理
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1 そもそもゴルフ会員権とは?
ゴルフ会員権は、そのゴルフ場でゴルフをプレーできる権利です。最近はゴルフ会員権がなくてもネットで簡単に予約できるゴルフ場が増えたのでゴルフ会員権と言われてもイメージわきませんよね。
それでも何故ゴルフ会員権を買う方がいるのかというと、少数にはなりましたが会員じゃなければ予約できないという名門ゴルフ場はまだありますし、そのゴルフ場が主催する競技に参加できる権利があったり、はたまたステータスだったり、会員価格でプレーできたりというメリットがあるからです。
さて、ゴルフ会員権には大きく「預託金方式」と「株式方式」の2種類があります(実務上は「預託金形式」のゴルフ会員権が圧倒的に多い)。
預託金方式・株式方式それぞれの「法的形式」は異なりますが、税務処理上の取扱いは、共通している点が多いです。

2 預託金方式と株式方式
種類 | 内容 |
預託金方式 | 会員がゴルフ場に「預託金」を預け、優先的施設利用権と預託金返還請求権を取得する制度 →勘定科目は債権となります。債権回収が困難となった場合に限り、貸倒引当金・貸倒損失の計上が可能となります。 |
株式方式 | 会員がゴルフ場に「株主」として出資し、優先的施設利用権と株主の地位を取得する制度 →勘定科目は投資有価証券ですね。時価が著しく下落した場合等は、株式評価損の計上が可能となります。 |
両者の大きな違いは上記のみです。その他の内容、例えば「購入時、売却時、プレー代等」の取扱いはほぼ同じです。
3.購入時の税務会計処理
ゴルフ会員権を取得するパターンは2つあります。ゴルフ場が新規に会員権を発行する場合(新規発行)と、既に発行されている会員権を他者から購入する場合(第三者から取得)です。
第三者から取得する場合には、その第三者に支払うゴルフ会員権代の他に、そのゴルフ場に支払う“入会金”や“名義書換料”があります。会員権は安くても、このゴルフ場に支払う名義書換料がべらぼうに高いというケースはよくあります。ゴルフ場の貴重な収入源ですね。
■法人税
ゴルフ会員権の「本体価額」「入会金」「名義書換料」は、購入時の「損金算入」が認められておりませんので全て資産計上となります。預託金方式は「投資その他の資産(会員権)」、株式方式の場合は「投資有価証券」です。減価償却はできません。
■消費税
ゴルフ会員権の新規発行の場合
預託金方式の場合は、会員権本体の取得は新規の貸付ですし、株式方式の場合は新規の出資ですので、消費税の課税対象外取引です。
別途支払う将来返還されない「入会金」は役務提供の対価となるため「消費税課税取引」です。ややこしいですね。
第三者から取得の場合
会員権本体の取得は、「預託金方式」「株式方式」どちらも消費税課税取引となります。消費税法上、非課税とされる有価証券は限定列挙されており、ゴルフ会員権の購入売却は、非課税取引とはされておりません。
別途支払う将来返還されない「名義書換料」や「入会金」は、役務摘要の対価となるため「消費税課税取引」です。
■留意点 給与/役員賞与と認定されるケース
ほぼ全てのケースですが法人会員で会員権を購入した場合でも、その会員権を利用する個人を特定しなければなりません。法人の従業員全員が会員としてそのゴルフ場を利用できる訳ではないんです。
そのゴルフ会員権の取得が、法人の業務上必要と認められない場合には、その会員として登録された個人への給与/役員賞与となりますので留意が必要です。
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