旅行代理店業の課税上の注意(新聞報道を解説)(水曜勉強会)
投稿日:
先週の社内の水曜勉強会で少し触れたトピックです。非居住者に対するサービス提供、資産の販売は、消費税が課されません。これを消費税の輸出免税取引といいます。外国法人に日本国内でのツアー旅行を販売し、その売上代金を輸出免税として申告していた処理が否認された東京高裁の判決事例が紹介されました。

****************************************
旅行業法に基づく旅行業等を目的とする日本法人が,外国法人の主催する訪日旅行ツアーにおいて,当該外国法人に対し,訪日旅行客の国内における飲食場所,宿泊先,交通手段等を確保し,これらを組み合わせて提供する取引が 消費税法7条 1項により消費税が免除される取引に当たらないとされました。東京高裁 平成28年2月9日判決 消費税更正処分等取消請求控訴事件
****************************************
上述の通り、外国法人(非居住者)に対するサービス提供は、輸出免税ですので消費税が課されません。但し、消費税法基本通達7-2-1で、下記のような、日本で直接便益を受ける取引は輸出免税の例外とされ、消費税が課されることになってます。
イ 国内に所在する資産に係る運送又は保管
ロ 国内における飲食又は宿泊
ハ イ又はロに準ずるもので国内において直接便益を享受するもの
この日本法人は、日本における飲食や宿泊費を支払い、そこに予約企画代理サービスという付加価値をつけて外国法人に請求しました。予約企画という行為事態は確かに日本国外で便益を受けるので輸出免税でもよいように思いますが、飲食や宿泊費部分もあわせて請求したことにより、全体が”日本国内で直接便益を享受する”と判断されたのだと思います。
ここら辺は、条文に明記されてないため、今回のように裁判官の判断が出て初めて、立法側の”温度感覚”がわかります。裁判事例のチェックはホント大事です。
関連記事
-
-
名義株の判定について (水曜勉強会)
本日の講師は佐々木さん。相続税の調査で指摘を受けやすい名義株の判定について、解説 …
-
-
人気観光地の神社への税務調査事例(水曜オンライン勉強会)
今日のオンライン勉強会の講師は榊原さん。税務署による神社への税務調査事例について …
-
-
取締役会を一切開催しないことは可能か?
【Q】当社は取締役会設置会社ですが、社外取締役、社内取締役が、国内外に分散してい …
-
-
租税回避とは
Yahooの事件をきっかけに、また良く目にするキーワードです。 下記新聞の記事で …
-
-
両親の社会保険料の負担
離れて暮らしている家族(特にお子様やご両親)の社会保険料を負担した場合には、その …
-
-
バンコク事務所移転
バンコク事務所 少しだけ住所移転しました。最寄り駅は、旧事務所と同じく、BTSチ …
-
-
香港出張
香港出張。香港に進出する日本企業をサポートしてます。 他の東南アジア諸国と比較す …
-
-
インド/アフリカ
INAAのAsiaAfricaフォーラムにて。 日本の将来を考えると、インドとア …
- PREV
- 蚊に刺される人の特徴
- NEXT
- 配偶者控除見直し検討 自民税調会長が表明(新聞報道を解説)
