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居住者か非居住者か?(水曜勉強会)

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今日の勉強会の講師は、岩里さん。内国法人のほか、シンガポール他の複数の海外法人の代表を務めていたが、所得税法上の「居住者」に該当するか否かを巡り争われた裁判につき解説してもらいました。東京地方裁判所は、2019年5月30日に、原告を「居住者」と判決してます。

当税理士法人が関与する事案でも、海外居住者に対し、その方が本当に非居住者なのかどうかを確認する税務調査が行われており、上記の事案が非常に注目度の高いものとなりました。

2011年の最高裁判決では、所得税法上の「居住者」を、日本に「住所」を有している者としており、その「住所」を、「生活の本拠、すなわちその者の生活に最も関係の深い一般的生活、全生活の中心を指すものであり、一定の場所がある者の住所であるか否かは、客観的に生活の本拠たる実体を具備しているか否かにより決すべきものと解するのが相当である」としてます。

つまり、単純に、日本の滞在日数が少ないというだけでは、非居住者とはならないということなんです。

今回、東京地裁は、客観的に生活の本拠が日本にあるか否かは、①滞在日数及び住居、②職業、③生計を一にする配偶者その他の親族の居所、④資産の所在、⑤その他の事情を総合的に考慮すべきとしてます。この総合的というのは曲者ですね。当法人が関与している税務調査でも、調査官も同様に、滞在日数だけではなく、やはり上記を”総合的に判断する”と指導頂いてます。

では、今回の東京地裁の判決につき、各項目での注目すべき解釈を列挙します。

①滞在日数及び住居

一般的なセオリーですが、日本の非居住者となるためには、日本の滞在日数を減らすことは最も重要だと考えられてます。今回の事案では、2009~2012年の4年間を並べて滞在国を比較しており、日本、アメリカ、シンガポール共に、4年間を通じて、おおむね100日程度の滞在でした。滞在日を見る限り、どこに住所があるかの判断は難しいですね。

 

②職業

一般的には、日本の非居住者となるためには、日本法人から代表権を外すことが大事だと言われます。今回の事案は、各海外法人に係る経営判断は、専ら原告Aが行っており、業務の中には原告Aが現地に赴き自ら行わなければならないものも多数含まれていたとのことです。

日本法人のために行っていた業務は、月1回の経営会議や、年2~3回程度の株主総会及び取締役会に出席等する程度のものだたそうです。

年間の66~75%程度の期間は海外に滞在して業務を行っており、年間の約4割は、シンガポール、インドネシア、中国等に滞在していたようです。仕事の内容的には、日本よりは、海外との結びつきが強かったようですね。

 

③生計を一にする配偶者その他の親族の居所

セオリーは、日本の非居住者となるためには、配偶者や扶養義務者も海外に連れていくべきと考えられてますが、今回は、配偶者や扶養義務者は、生活の便宜や教育上の配慮により、日本に住んでいたそうです。この点だと、日本への結びつきが強いです。

 

④資産の所在

資産の多くは日本に所在していたそうです。ただし、シンガポールにも1700万円以上の預貯金があったそうです。当面生活するために十分な額の資産を有していたかどうか、、ということは重要な判断材料なようです。

 

⑤その他の事情

日本の非居住者となる場合は、日本の住民登録も転出することをお勧めしてるのですが、今回の事案は、住民票を日本に残したままにしていたそうです。裁判上の解釈では、海外赴任する者が、他の手続上の便宜のために日本国内に住民登録を残しておくことは、特に不自然ではないと判断してます。

また、居住地国で確定申告をすることも大事だと言われてます。今回の事案では、シンガポールで居住者としての確定申告をしていたそうです。

 

個人的な感想ですが、やはり滞在日数と職業上どの国との結びつきが強いかというのは、特に大事だと実感してます。

 

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