日本法人の役員の外国税額控除
投稿日:
日本法人の役員A(日本居住者)が、米国に出張しましたが、出張日数の関係で米国で所得税が課されてしまいました。この米国所得税は、役員Aの日本での所得税の確定申告申告上、外国税額控除の控除対象とすることができるでしょうか?
①役員Aが、日本の確定申告で米国所得税を外国税額控除するためには、役員Aに「国外源泉所得」が無ければなりません。米国勤務分は国外源泉所得だろう、、と思えますが、日本の所得税法上は、役員報酬はどこに出張していたとしても全て「国内源泉所得」とされます。なので、一見、今回のケースは「国内源泉所得」しかないため、外国税額控除を適用することができないのでは?という質問を良く受けます。
②ただし、外国税額控除の場合は少し別です。所得税法第95条(外国税額控除)第4項第十六号で、「租税条約上、相手国である米国で租税を課することができるとされている所得については、国外源泉所得として外国税額控除を適用してよい」ということになっています。
③日米租税条約では、給与に関しては、原則として勤務場所が所得の源泉地となるものとされ(日米租税条約第14条)、その中でも役員報酬については、その役員となっている法人の国も所得の源泉地となることとされています(日米租税条約第15条)。
⇒なので、海外勤務日数に対応する部分が、国外源泉所得と認定され、米国の所得税を外国税額控除により、日本の所得税から控除できますね!
関連記事
-
-
Matsuhisa
経営者として、職人として、私の尊敬するオーナーシェフ 松久信幸氏がビバリーヒルズ …
-
-
今年の確定申告
外国人の皆様からの依頼が本当に増えた1年でした。今や、個人確定申告に限っては、売 …
-
-
プロゴルファーが獲得する賞金
プロゴルファーが獲得する賞金ですが、そのプロゴルファーが別途設立した法人で収受で …
-
-
マイナンバー導入に際して各企業が準備しなければならないこと
平成28年1月1日からマイナンバー制度が導入されます。 導入に際して各企業は、番 …
-
-
国外関連者への寄付、移転価格税制との関係
外国の親会社に対して、資産を低額で譲渡した場合には移転価格税制により課税、資産を …
-
-
社長が会社に資金を貸し付けた場合に認定利息課税はあるか?
→無いです。 ここは誤りが多いので、気を付けましょう。
-
-
印紙税 (水曜勉強会)
昨日の勉強会で、印紙税のことにも少し触れました。会計事務所がお客様と締結する税務 …
-
-
居住者か非居住者か?① 税務調査
某国税局の資料調査課から、居住者か非居住者かが論点となる税務調査を受けました。 …
- PREV
- 従業員の給与の一部親会社負担 その⑥
- NEXT
- 非永住者⇒海外上場株式が課税となります!