アルテスタ税理士法人

アルテスタ税理士法人は、INAAグループの日本代表事務所です。

国内法人税務、相続税務から、外国法人の日本進出まサポートまで総合的にサポート

*

(新聞報道を解説) 所得隠し11億円、タックスヘイブンに会社

投稿日: 

世界の中には、税金がかからない国があります。カリブ海に浮かぶケイマン諸島、同じカリブ海で、やや東側に浮かぶ英領バージン諸島等。これらの国に法人を作り、売上をそこで計上すれば、税金を支払う必要はありません。これら、法人税率20%以下の国を、日本の税法では、総称して タックスヘイブン (=租税回避地)と呼んでます。日本の税法では、タックスヘイブン国に会社を設立したとしても、それらの会社の10%以上の株式を保有している日本居住者は、現地での管理支配基準等を満たさない限り、対応する所得を日本で申告しなければならないと規定されてます。

本来は、日本法人が利益を計上すべき取引ですよね? と認定された場合には、日本で申告しなければならない、ということです。。

今回の報道では、英領バージン諸島に設立した法人が利益を計上しましたが、恐らく、上記の管理支配基準を満たしていないことが理由で、株主である日本法人に、日本で納税するよう指摘したのだと思います。管理支配基準は、特に現地に居住する役員が、現地で法人を管理しているのかが問われます。今回のケースは、日本に居住している誰かが、英領バージン諸島に設立した法人を管理監督していたのでしょう。。

<以下 読売新聞 5月8日19:48掲載の記事抜粋>

海外駐在の日本企業社員向けに保険仲介などを行うW社が、東京国税局から2012年11月期までの7年間で計約11億円の所得隠しを指摘されていたことが、関係者の話でわかった。

所得隠し11億円、タックスヘイブンに会社作り

同社は、租税回避地(タックスヘイブン)の英領バージン諸島に同じ社名の会社を設立し、この会社名義で香港の銀行に口座を開設。取引先の大手損保に振り込ませた業務委託料を申告から除外していた。同国税局は悪質な所得隠しだとして、W社に重加算税を含む法人税4億数千万円を追徴課税。同社は修正申告し、納付も済ませたとみられる。

関係者によると、ウェルビー社は、中国などに駐在する日本企業の社員らに現地の医療機関を紹介したり、保険商品を仲介したりするサービスを提供。1997年頃からは、複数の大手損保と業務委託契約を結び、各損保の顧客企業の社員らにも同様のサービスを提供するようになった。

一方、ウェルビー社は英領バージン諸島に同じ社名のペーパーカンパニーを設立。取引先の大手損保に対し、このペーパーカンパニー名義で香港の銀行に開いた口座を「うちの口座だ」と偽り、業務委託料を振り込ませていたという。

英領バージン諸島の会社には法人税がかからない。また、香港では地域外の企業活動で発生した所得には課税されないルールがある。東京国税局は、ウェルビー社に、タックスヘイブンの法人が香港外の活動で所得を得たと装うことで、どこの国からも課税されないようにする意図があったと判断したとみられる。

 - ブログ

  関連記事

大企業も欠損金の繰り戻し還付が可能に

現行は資本金1億円以下の企業に認められている法人税の欠損金の繰り戻し還付制度です …

BEPS(税源浸食と利益移転)プロジェクト(水曜勉強会)

昨日の勉強会の講師は私。固定資産税に関する訴訟、スキャナ保存制度、ディスカウント …

お亡くなりになった方が居住していた土地の相続 (小規模宅地の評価減 居住用宅地)

お亡くなりになった方が居住していた土地を相続する場合には、相続税評価額の減額制度 …

一時的に日本に居住している方の相続税の納税義務

転勤や留学で一時的に日本に滞在している海外国籍の方もいらっしゃいますが、そのよう …

タージマハール

先日、ニューデリーでの会議を終え、片道4時間かけてタージマハールに行ってきました …

給与が外注費か?(水曜勉強会)消費税の仕入税額控除の適用可否をめぐる事件

今日の勉強会の講師は中川さんです。東京地方裁判所の判決結果を解説してもらいました …

期限切れ欠損金 法人税法と基本通達、正しいのはどっち?

会社を清算する際、超過債務につき債務免除益を計上することがあり、その時点で青色欠 …

業務案内(バンコク事務所)
年の途中で出国した方の予定納税義務

前回の所得税の確定申告で納税が生じた場合には、7月と11月に所得税の中間納税義務 …

PAGE TOP