ヤフー側の敗訴確定 最高裁「税逃れのための再編乱用」
投稿日:
結局、ヤフ敗訴が確定しました。ヤフーによるIDCフロンティアの吸収合併は、”税務欠損金の引継ぎだけ”を目的とした、経済合理性が無い取引であると認定されたことを意味します。
以前社内勉強会で、IBM事件を例に、そもそも経済合理性とは何ぞや、を検討しましたが、その時には、裁判所は以下の観点で、経済合理性の有無を判断しているようだと結論づけました。社内では。。
*その取引は自社の利益になっているのか?(=純経済人の行為として不合理な行為ではないか)
*その取引は、取引の相手先の利益になっているのか? (=独立当事者間の通常の行為なのか)
今回は、データセンター機能を持つIDCフロンティアの吸収合併は、その対価設定やその段取り等に、税務欠損金の引継ぎ以外に、Yahoo社に利益をもたらすような理由づけを見つけることができなかったのでしょう。
しかし、全く実態の無い会社を吸収合併した訳でも無いのですから、ヤフー程のレベルであれば、もう少し社内で合理的な理由を考えて合併に臨むこともできたはずなのですが。。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
以下 朝日新聞デジタル 2月29日(月)
インターネット検索大手「ヤフー」(東京)の再編に絡み、同社と傘下の「IDCフロンティア」(同)が、東京国税局による計約193億円の追徴課税(更正処分)の取り消しを国に求めた二つの訴訟で、ヤフー側の敗訴が確定した。最高裁は29日の判決で、2社による合併や買収などの計画について、「税逃れのための企業再編税制の乱用だ」と認め、2社の上告を棄却した。
判決は、企業が再編をする上での税制上の優遇措置を、税逃れのために乱用したかどうかについて、「実態とはかけ離れた形の再編で、不自然かどうか」「再編に合理的な理由があるか」を基準とするべきだとする、初めての判断を示した。その上で、ヤフーが買収前に副社長を送り込んだり、IDCフロンティアが会社の分割で設立されたりしたことが、税逃れのための乱用だと認めた。
関連記事
-
-
米国パートナーシップ最高裁判決(水曜勉強会)
今日の講師は山本さん。各高裁で異なる判決が出されていた、デラウェア州のLimit …
-
-
人的役務提供事業と租税条約の関係
外国の法人から技術者が来日し、日本の法人で役務提供を行い、日本の法人がその業務の …
-
-
米国から日本に駐在してきた方は、なぜ日本で健康保険を払わない? 日米社会保障協定
米国で勤務している方が日本に転勤となった場合ですが、日米社会保障協定 を米国側で …
-
-
外貨で海外の貸付用の固定資産を購入したら為替差益に課税されることがあるって知ってますか?
米ドル建で預け入れていた預金10万ドルを使って、ハワイの貸付用の不動産12万ドル …
-
-
事業継続緊急対策(テレワーク)助成金が登場
テレワーク推進に関する助成金が創設されたので紹介します。自社でも使おうと思います …
-
-
“183日ルール”にコロナ禍の特別措置無し!
新型コロナ禍における183日ルールの適用につき、注目の判断が発表されました。 例 …
-
-
バンコク事務所移転
先日、バンコク事務所が移転しました。 (新住所) No. 163 Thai Sa …
-
-
10月開始のインボイス制度 音楽印税に波紋 JASRACの減額通知に翻弄される作曲家(ニュース記事を解説)
2023.10.1 産経新聞 これまではJASRACから印税権者に音楽使用料を分 …