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役員退職金 平均功績倍率1.06 !? Jファーム事件(水曜勉強会)

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今日の勉強会の講師は中野さん。人数を制限して、リモートで勉強会開催です。今日は、役員退職金の功績倍率が一般的には2~3倍とされるなか、平均功績倍率が1.06倍と認定されたJファーム事件を取り上げてもらいました。

この事案ですが、税務当局側が抽出した類似する企業の平均功績倍率が1.06だったという事実には変わりありませんが、実務的には、税務調査対応の失敗事例だったように想像できます。

功績倍率は一般的に3倍と言われている?

実際の税務調査実例を見る限りでは、平均功績倍率を3倍で計算する分には、特に問題となるケースは生じないというのが、当法人の経験です。しかし調査の対応を間違えると、とんでもないことが起こるという実例です。順を追ってみてみましょう。

税務調査の流れ

①納税者(以下J社)への税務調査が開始(恐らく2014年夏か?)

②J社は、税務署からの指摘事項について自主的な修正には応じず。

③税務署は「肉用牛の売却所得に関する免税」を否認する決定処分を行う(2015.3.17) ⇒J社は退職金の功績倍率を8倍として計算していたが、税務署はこの点については指摘していない。★重要な事項だけを指摘し、他の部分はスルーするということは実務上良くあります。

④J社は、上記の決定について異議申し立てを行い(2015.3.25)、税務署側に再度調査を行うように申し立てる。

⑤税務署と恐らく局査察とが合同で再度調査を行うが、この場合税務署側には、③でスルーした功績倍率(8倍)についても、再度調査を行う権限が生じる。

⑥功績倍率を調査した結果、1.06倍となる。

ポイント

税務調査においては、一部否認事項をスルーしてくれることがあります。④の異議申し立てを行う際に、その事項まで再度調査されることは、知っておかなければなりませんでした。功績倍率8倍は間違いなく否認されます。

また、功績倍率3倍というのは、ここ30年位前から使われている数字です。景気悪化に伴い実際の退職金は減少していると思いますので、実際に税務当局が本気になって調実例を調べていけば、功績倍率は、1.06倍等の3倍以下となるケースがあるということも知っておかなければなりません。

 

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