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給与が外注費か?(水曜勉強会)消費税の仕入税額控除の適用可否をめぐる事件

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今日の勉強会の講師は中川さんです。東京地方裁判所の判決結果を解説してもらいました。

塗装工事業等を営むX社(原告)は、従業員に対して社会保険に加入して給与から社会保険料を徴収する旨の説明を行った。しかし、作業員2名から、“給与が減額されるのは困るので,外注先として取り扱ってほしい”との申出を受けたため、「外注先」への報酬として金員を支払ったそうです。

X社は、この報酬の支払いについて、消費税の仕入税額控除を適用しましたが、税務署は、この支払を給与と認定し、仕入税額控除を否認し、源泉所得税の課税を指摘しました。東京地方裁判所も、税務署側の判断を支持し、結果的に税務署側が勝訴する結果となりました。

東京地裁は、各作業員に支払われた金員は、“X社から空間的,時間的な拘束を受け、継続的ないし断続的にされる労務又は役務の提供の対価として支給されたものであり、雇用契約又はこれに類する原因に基づき使用者の指揮命令に服して提供した労務の対価として使用者から受ける給付というべきである”とし、「給与等」に該当すると指摘しました。

「給与等」への該当性については、昭和56年の最高裁判決(【参考】)が判断基準として定着してます。本件においても、東京地裁は同最高裁判決のほか、 消費税法基本通達1-1-1 も、「給与等」への該当性の判断の参考になる基準としてます。

消費税法基本通達1-1-1と、その事実へのあてはめの判断は以下の通りです。

 非代替性 (その契約内容は他人に代替することができない)・各作業員は自らの判断で仕事を外注することはなかった。
・各作業員が仕事を休むことになった場合,各作業員が代替の作業員を手配するのではなく,X社が代替の作業員を手配していた。
 指揮監督性 (役務提供は誰の指揮監督を受けるかどうか)・各作業員は,作業日,作業内容,作業時間を自由に決めることはなく,X社が各作業員の希望を聞いた上で作業先を振り分け,受注先の現場監督,X社の代表者等に従って作業を行っていた。
 危険負担 (未完成品が不可抗力のため滅失した場合に、請求できるかどうか)・各作業員に完成すべき作業の定めはなく,依頼された作業が完成しなくても作業日数に応じた報酬が支払われていた。
④ 材料等の支給・X社が元請から材料(塗装材)を有償で支給されて作業を請け負っているため,各作業員が材料を購入することはなかった。

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