名義株認定 税務署の判断を国税不服審判所が却下!(水曜勉強会)
投稿日:
今日の勉強会の講師は税理士の中川さん。税務当局が平成29年1月に行った名義株認定による相続税の追徴課税43億円の指摘を却下した事例を解説してもらいました。

大企業グループの株式を保有する有限会社の持分の所有者Aが、平成7年にその持ち分の全てをAの妻であるBに譲渡し、平成8年にBの持ち分の一部が、Bの子であるCに譲渡されました。その後平成25年にAが死亡し相続が開始されたのですが、平成28年に税務調査が行われることになります。
税務当局:有限会社の持分は、AからBに譲渡されたとは言えない。その有限会社の持ち分は、名義はB/Cであるが、実質的にはAが管理/支配していた、と認定したのだと思います。
納税者:有限会社の持ち分は、BとCに適正に譲渡されている。Aに帰属するものではない!
国税不服審判所の判断:AからBの持分の譲渡は認められるため、有限会社の持ち分をAの相続財産には含めるとした国税当局の判断は誤りです! なんですが、BからCへの譲渡契約は認めませんでしたので、Bに相続が発生したときに問題は先送りされました。
国税不服審判所は、AからB、BからCへの譲渡につき、それぞれ次のような判断を下したことは注目です。
■AからBへの譲渡、、、契約書には、AとBの各本人による署名押印がある。購入代金の支払いなど同契約に関する申述の信用性は高いものと認められ、同契約が成立していないということはできない。
■BからCへの譲渡、、、契約書には、BとCの各本人による署名押印がある。その契約に沿った資金の移動が認められるが、申述や、これに符合する事実があることからすれば、代金を支払う旨の意思の合致があったとは認められず、譲渡契約が成立したものと評価することはできない。→Cは代金を支払う意思はなかったにも関わらず、強制的に代金を支払わされた、、と判断されたということですね。
双方の意思の一致という事実は非常に大事なようです。
関連記事
-
-
取締役の任期 補欠や増員した場合の取り扱いは?
取締役の任期は、最短1年から最長10年とすることができるようになりましたが、取締 …
-
-
広大地の評価⇒2018年からの大改正(水曜勉強会)
今日の勉強会の講師は山沢が担当しました。相続税法、広大地の評価減に関する大改正に …
-
-
移転価格税制の調査動向②
前回の http://www.altesta.com/info/2020/06/ …
-
-
相続税の還付請求 その原因は?
”広大地の評価減” ってご存知でしょうか。 最強の相続税節税策の一つです。広大地 …
-
-
人的役務の提供事業 国内源泉所得?租税条約の届出?
例えばIT系の外国法人が、従業員を日本に派遣し、日本国内の顧客に対して専門知識を …
-
-
10年間限定の事業承継税制特例制度(水曜勉強会)
今日の勉強会の講師は山本さん 事業承継税制と、今年から改正された、10年間限定の …
-
-
2016年10月以降 登記申請で株主リストの添付が義務化(水曜勉強会)
昨日の水曜勉強会で、登記申請で株主リストの添付が義務化されるトピックを山本さんに …
-
-
シンガポールでのCOVID-19制限解除の動向
シンガポールですが、6月2日からCOVID-19対策の制限、通称”サ …
