タックスヘイブン税制の改正に注意~2020年3月期決算~
投稿日:
新しいタックスヘイブン税制ですが、海外子会社の2018年4月開始事業年度以後から適用開始となります。海外子会社は12月決算法人が多いため、シンガポール子会社を例にとると、シンガポール子会社の2019年1~12月の事業年度の所得から適用されます。日本親会社が3月決算だと、2020年3月期から影響がありますね。
タックスヘイブン税制は2017年改正で大きな改正が加えられましたが、今一度適用要件をまとめます。
| 要件① 日本居住者で合計50%超を保有している会社であり、かつ | ||
| 要件② その所在地国の税率により要件は異なります。 | ||
| 【所在地国の税率30%以上】→そもそも合算対象外 | ||
| 【所在地国の税率20%以上30%未満】 →次のいずれかに該当する場合は合算対象 | ||
| A ペーパーカンパニー(主たる事業を行うのに必要な事務所等の固定施設がなく=実体基準、かつ、その本店所在地国において事業の管理支配、運営を自ら行っていない=管理支配基準) | ||
| B キャッシュボックス(受動的所得30%超、かつ、総資産に対する金融資産等の割合50%超) | ||
| C ブラックリスト国に所在している場合(例:トリニダード・トバゴ) | ||
| 【所在地国の税率20%未満の場合】 | ||
| A ペーパーカンパニー、キャッシュボックス、ブラックリスト国所在の場合は、全ての所得が合算対象 B そもそも受動的所得を有していればその部分は合算対象 C 経済活動基準のうちいずれかを満たしていなければ全て合算対象 →経済活動基準を全て満たしていれば、受動的所得以外は合算不要 | ||
| <経済活動基準> ①事業基準 主たる事業が下記でないこと *株式等/債券の保有 *無形資産等の提供 *船舶又は航空機の貸付 ②実体基準 主たる事業を行うに必要な事務所、店舗、工場その他の固定施設を有していること。 ③管理支配基準 本店所在地国で、事業の管理、支配及び運営を自ら行っていること。 ④非関連者基準か所在地国基準のいずれか 非関連者基準 主たる事業における取引の50%超が非関連者とのもの (主たる事業が、卸売、銀行、金融業、リース業等の場合に適用) 所在地国基準 主たる事業を主として本店所在地国で行っていること (上記以外の事業の場合に適用) |

関連記事
-
-
新規設立法人の消費税の免税とインボイス制度導入の関係
インボイス制度の導入まで、あと1年9カ月。新規設立法人が消費税の免税事業者となれ …
-
-
株式の譲渡制限をかけたからといって
他人に株がわたる事は無い、、と思ったら大間違いです。取締役会による譲渡制限をかけ …
-
-
一般社団法人を悪用した相続税にメス
銀行が、”相続対策”とかの名目で、新設した一般社団法人に資金を貸し付け、その資金 …
-
-
ICAPって知ってますか?
多国籍間の適正な税負担への対処、PE問題への対処を目的に8か国で検討している計画 …
-
-
相続財産に米国の財産があった場合?
米国では各州で法律が異なっているため、相続法については各州別に調べる必要がありま …
-
-
(新聞報道を解説) 「機長派遣の海外企業、消費税申告漏れ」
日本の航空会社にパイロットを派遣している米国、ニュージーランド、アイルランド等の …
-
-
ヤフー側の敗訴確定 最高裁「税逃れのための再編乱用」
結局、ヤフ敗訴が確定しました。ヤフーによるIDCフロンティアの吸収合併は、”税務 …
-
-
INAA国際会議 インドCNKとの共同事業
INAAの国際会議では様々な国から会計事務所が集まってきているため、色々な国の会 …
- PREV
- オープンイノベーション税制(水曜勉強会)
- NEXT
- 美容業の倒産廃業が2019年急増
