居住者か非居住者か?② 税務調査
投稿日:
2017年1月23日の国税不服審判所(←国税庁が設けた裁判所のようなものです)の裁決で、インドネシアに250日も居住していた方が、日本の居住者として認定された事例について、もう少し詳しく解説します。

現行の日本の税法では、居住者の判定は滞在日数で定めるのではなく、”生活の本拠”の場所です。この生活の本拠の判断は、様々な角度から総合判断されますし、ガイドラインが明確に示されていないため判断が大変難しく、専門家の中でも考え方が分かれます。
当法人の税務調査実例や、他の裁判案件からも共通しているのは、まずは「滞在日数」、次に「経済的な関連性」です。次に家族の居住場所、資産の所在、社会保険、住民登録等が勘案されていきます。滞在日数で海外が多くても、経済的な関連性が日本と強ければ、日本の居住者となります。
今回の裁決事例は、インドネシアの年間滞在日数は250日滞在でした。ただし、所得のほぼ全てが、日本の金融資産から生じているとのことでしたので、経済的な関連性 (←所得的な関連性)が日本と非常に強いと判断され、日本の居住者と認定されることとなってます。
その他にもご家族が日本に住んでいたり、日本に持ち家があったり、日本の社会保険に加入していたりと、いつかは日本に戻るんだろうなぁ、と思わせる要素が多くあったことも追い打ちをかけてます。
実際の税務調査の立ち会い経験からも、「海外に住んでいれば日本の非居住者」という考えは、忘れた方が良いです。
次回はもう少し考え方をまとめてみます。
関連記事
-
-
所得税の確定申告書に、マイナンバーを記載しましたか?
税法上、ペナルティーは無いようなのですが、平成28年分の所得税の確定申告書から、 …
-
-
消費税の輸出免税(水曜勉強会)
今日の勉強会の講師は田村さんと茂木さん 消費税の輸出免税や印紙税法の実務上の取り …
-
-
仕事納め
今日仕事納めです。お昼は、社員全員で新橋の鰻の名店「本丸」で鰻弁当を20個注文。 …
-
-
INAAミーティング(イタリア)
国際会計事務所グループ、INAA(http://www.inaa.org/)の国 …
-
-
日台租税協定 いよいよ締結! (新聞報道を開設)
実は。現行法に従うと、台湾に住んでいるサラリーマンが日本に出張にくると、いくら台 …
-
-
2016年10月以降 登記申請で株主リストの添付が義務化(水曜勉強会)
昨日の水曜勉強会で、登記申請で株主リストの添付が義務化されるトピックを山本さんに …
-
-
少年野球
実は、個人的に小学生に野球を教えてまして、、先日その少年野球チームの低学年チーム …
-
-
新卒社員入社内定式
感染防止対策もあるため大変ささやかではありますが、参加人数を絞り、2023年4月 …
